公益社団を選ぶ理由
柔整業界内には「〇〇柔道整復師会」や「〇〇協同組合」という名称の組織がありますが、それらは全て個人契約柔整師の柔整療養費支給申請書(通称レセプト)を保険者に代理請求する請求代行業者です。さらに、それらの業者の中には、請求代行を依頼する契約者(個人契約柔整師)を「会員」と称する場合もありますのでご注意ください!
柔道整復師業界の中で団体として存在するのは、唯一「公益社団法人47都道府県柔道整復師会」と、その上部団体である「公益社団法人日本柔道整復師会」だけです。
“柔道整復師だから保険が使える”訳ではありません。「償還払い※1」が原則の療養費の中で、公益社団法人柔道整復師会(以下“(公社)柔整師会”)が行う公益活動を基にした高い公益性を背景に、柔整療養費には「三者協定※2」が締結されており、この協定を確約することを条件に「受領委任払い※1」での保険取扱が認められています。
そして、「受領委任払い」は「地域住民の利便性」、つまり「患者さんのために」創られた制度であり、決して柔道整復師のための制度ではありません。
昭和63年からは、“(公社)柔整師会”に所属しない柔道整復師(個人契約柔整師)には、公益社団の「協定書」に基づいて「受領委任の取扱規定」が作られ、この「受領委任払いの取扱規定」を確約することを条件に保険が使えるようになりました。


※1「償還払い」と「受領委任払い」
「療養費」(柔道整復・鍼・灸・あんま・マッサージの各施術所、装具作成の費用など)は、患者さんが受けた施術費用の全額を一旦施術所窓口で支払い、後日患者さん自身が保険者にそのせ術費用の請求を行い、保険者から一部負担金を除いた金額の返還を受ける「償還払い」が原則。しかし、柔道整復師については、患者さんが受けた施術費用の一部負担金だけを施術所窓口で支払い、保険金額については患者さんの委任を基に柔道整復師が保険者に請求する「受領委任払い」制度が認められている。これは患者さんの経済的・事務労力的負担を考慮して設けられた「国民のため」の制度である。
※2「三者協定」
都道府県知事、地方厚生(支)局長、各都道府県公益社団法人柔道整復師会長の三者で交わらせる協定で「受領委任払い」の基をなすもの。
法人格
柔道整復師会として、都内で唯一の公益社団法人格を取得(平成23年5月2日)。所管となる東京都から、都民の健康維持増進を図る公益法人として、認定を得た柔道整復師の職能団体です。
東京都知事・関東信越厚生局長そして、公益社団法人東京都柔道整復会長と三者合意のもと、受領委任協定を結んでいます。(三者協定)
最大のメリットは三者協定
都道府県公益社団法人柔道整復師会は、各会の会長と都道府県知事・地方厚生(支)局長との間で「協定」を結んでいます。(三者協定)
この「協定」を確約することにより、受領委任払いが認められています。
そして、上部団体である公益社団法人日本柔道整復師会は政府と交渉を行うなど、行政との信頼関係を構築しています。


受領委任等の届出
保険請求に必要な受領委任登録等の届出や、労災保険の取扱い手続きは、当会にていたします。
会員が自ら厚生局や労働局へ直接行く必要はありません。
公益社団会員以外の柔道整復師は全て個人契約柔道整復師となります。
他団体と称する「●●柔整師会」「●●柔整協同組合」などは全て「柔整療養費の請求代行業者」であり、そこへの参加は「会員」ではなく「クライアント」になります。
会員の声
【葛飾支部 小倉弘之】
私は柔道整復師の資格を取得したあと、整形外科を経てチェーン系接骨院にて勤務していました。
まず、整形外科で外傷の経験を積み、商業的にも成功していそうなチェーン系の接骨院でレセプト請求や運営などを学んだ上で開業しようと考えたからです。
その後独立開業するに至り、自分がどの団体に所属するかを考えました。当時勤務していたチェーン系接骨院は、請求団体に関してはレセプト請求時の手数料を重視して判断しており、途中でより安い手数料の団体へ変えた事もありました。もちろん経営としても成り立たないといけませんから、手数料も重要なのですが団体も大小合わせて沢山あり、判断がつきませんでした。そこで知人の開業された先生に相談したところ、「やはり最大の組織である公益社団・日整がよいのではないか」との助言を頂いたのです。しかし当時の私が公益社団・日整に対して持っているイメージは正直なところ、あまり良いものではありませんでした。一言で言えば「なんかうるさそうだし、色々やらされて面倒くさそう」だったのです。
その懸念を率直に伝えたところ、「昔はそういった一面もあったみたいだけど、今はそうでもないよ」との事。結局散々迷ったあと、公益社団・日整つまり東京都柔道整復師会に入会を決めたのでした。
入会した当初、私は極力「面倒」に巻き込まれないよう、わざと会務には消極的に振る舞っていました。ですがそんな私にでも声をかけ、気にしてくれる先生方がいらっしゃいました。礼儀も知らない私に、ああいった場ではこうした方がいいと教えていただき、まだまだ外傷経験の足りない私に、外傷処置についてコツや独自の体験談を聞かせてくれたのです。都柔整にはいわば接骨の「匠」呼ぶべき外傷の達人が沢山いらっしゃいます。自院では扱いきれない骨折の処置に、会員の先生が援軍に来て整復してくれたという話も聞きました。
他団体ではいうまでもなく、基本的に自分以外の接骨院は商売敵。チェーン系接骨院でも仲間と呼べるのはせいぜい同じグループの院だけでしょう。ですが都柔整において会員は「同じ地域でがんばっている仲間」なのです。(もちろん人間関係は必要です)。この「横の繋がりの強さと広さ」は他団体では成しえない事だと思います。
他に実感することは「行政と応対できる唯一の組織」だということです。休日診療当番、高校生の柔道大会救護や地域防災訓練の参加、東京マラソンや東京国体などの各イベントの救護や協力など、色々な場所で活動を行っています。そしてこれらの参加は基本的に任意です。柔道大会は新線外傷も多く、選手への貢献と柔整師の社会的アピール、そして自分の外傷経験値と公衆の面前での処置という面でハートも鍛えられます。また、上部団体の公益社団・日整ではラグビーワールドカップや2020東京オリンピックパラリンピックへの協力も検討されているところです。こういった活動をしていることを患者さんにアピールすることもできます。
もう一つは「会員は公益社団によって守られている」と感じます。レセプトは都柔整の中でもチェックされ、不備や間違いがあった場合は保険者に提出する前に戻してくれます。
労災やレセプトに関しての質問にも回答してもらえます。そして今、柔整業界に改革が始まっています。平成29年は実際に改革が動き始めた年となりましたが、その内容をみてみると自分が柔道整復師として誠実であれば、都柔整も今後の改革による変化も自分の味方である、とつくづく実感します。
良い所ばかりでなく、悪かった点も挙げさせて頂きます。それは会費の金額がわかりづらいことです。定率会費?定額会費?結局いくらかかるのかが、最初はよくわかりませんでした。入会に際して自分が見た当時の案内には「会費は安い」としか記載されていなかったのを見て、唖然としたのを覚えています・・。
総じて都柔整の入会に於いて、現在は満足しています。長くなりましたが開業される先生方の参考になれば幸いです。
【江東支部 奈良大和】
私は開業して9年目となりますが、開業当初からの5年間は前職場の関係もあり、個人契約請求団体で請求をしておりました。
個人契約請求団体に在籍していた時には、都柔整は入会金が高い、請求部位の抑え込みがきつい、色々なしがらみが強いなど、あまり良いイメージがなく、周りでも良い話を聞くことがありませんでしたが、近年、年を追うごとに柔整業界内での様々な変革が起こり、都柔整会員の先輩からの助言もあり、今の都柔整入会に関しては「昔ほど悪いイメージはなく入会並びに請求部位の抑え込みなどはない」との話を聞き入会を決意しました。
個人請求団体時代はレセプトの請求、返戻などの対応の仕方が良くなく、個人では対応しきれずに再請求しないこともあり、又会員同士の縦と横のつながりが薄く、今思えば勉強会や講習会などはさほどなかったと思います。
事実、東京都柔道整復師会入会後に感じた事は、都柔整主催の講習会・勉強会などは、個人で勉強することで得られる知識の量と内容も違うということです。また、公益社団である為、地域の人達との関りも深いことも感じられます。そして都柔整は各支部(市区町村)との連携で支部内での勉強会もあり、情報交換などが活発に行われている事に結びついていると気づきました。しかも会員同士は平等であり上下関係などはさほど感じませんでした。
入会後に特に感じ勉強になった事は、東京都整復師会と個人契約請求団体であっては出来ない職域を守るという意味でもある団体交渉のできる公益社団法人に入会しておくべきと考えました。また、国との受領委任支払いの協定をとりついでいる団体協定・整復師会だと入会後には思いました。個々、個人請求団体では限界があると思い、国や各地方自治体を動かす為に、柔整業界としての地位向上を目指すためには集団としての力が必要だと感じました。
【世田谷支部 中原 恵 H27、3入会】
私は数年前まで、ある個人契約の会に入会して管理柔道整復師をしていました。元々雇われたという身であり、前任者も入会していたのでと哀願された為、特に疑問も持たずにその個人契約の会に入会したのですが、そこは会と呼ぶには程遠い、単なるレセプト請求代行業者でした。
勉強会や定例総会などは勿論無く、ただ毎月のレセプトを保険者に送ってもらい、その分の手数料を支払うという形でしたが、かなりいい加減な仕事をしていました。返戻がやたらと多く、その中でも一番多かったのは宛先を間違えて提出されることによる返戻でした。また、明細なども一切無く、金額がいくら入金されるかは毎月確認しなければ解らないという形で、この業者とは度々衝突していました。
そんな中で、私が自分で開院するにあたって、すでに入会して10年経つ友人から公益社団法人東京都柔道整復師会を強く勧められたことで、平成27年3月に入会しました。
入会後、初めての支部会が丁度定例総会でした。出席してみると、これまでの請求代行業者とのあまりの違いに愕然とし、先輩方の会務や日常業務へ取り組む姿勢を見聞きして、今まで以上に向上しなければと強く決意したことを覚えています。定例総会後には支部主催の勉強会があり、その後の懇親会にも参加させて頂きました。勿論、これまでの先輩方との交流の場は全くなかった為、会員したての私は色々な面で助かり、又勉強になりました。
総会以降も、支部会や電話で相談させて頂くなど、先輩方との交流は深まっており、何の不安もなく施術に打ち込んでいます。
更に、公益社団法人ということで、今まで経験したことのない区の委託事業、スポーツ救護、ボランティア、地域支援事業など、様々な会務に参加することが出来、先輩方のアドバイスを受けられスキルを磨けるのが何より魅力となりました。個人契約では勿論、このような事はできません。
私は専門学校を卒業する際、一切学校からも入会の事や会に関する情報も頂けなかったのですが、友人が開院した時、どこの会に入ればいいのかと相談されたことがありました。その友人は数年後に廃業してしまいましたが、その時公益社団法人 柔整師会のことを知っていたらと後悔しています。
個人契約には限界があり、違法を行っている接骨院が乱立しています。先述した通り、公益社団の利点、会員の方達との交流が持てるのは、かなりの強みになります。この先数年を見据えたうえで、公益社団法人東京都柔道整復師会への入会を、未入会の柔整師や学生の方達に強く勧めたいと思っています。
【足立支部 匿名 平成25年7月入会】
私が以前研修させていただいた師匠の先生は、常々施術上で何か困ったことや、書類上分からないことについて、親しい公益社団法人会員の先生方と密に連絡をとっておられました。そのような姿を見てまいりました故に、私自身が開業時に個人契約ではなく公益社団法人に入会した理由を思い返すと、これからの柔整業界を正しい方向に導き、そして共にこの柔整業界を変えていく力があると思ったからに他なりません。
加えて、公益社団法人の会員になって良かったと思うことは、開業してからも手技施術スキルアップの為の定例研修会や業界の方向性を示唆する会報誌(コンパス羅針盤)の配布、そして直接収入に関する不安や分からないことがある際の保険講習会等、その際に親身になって教えていただけるフェイスtoフェイスの先輩方や仲間たちが大勢いるということは大変心強いものであり、横の繋がりの大切さを痛感させられます。まさに「人に財産あり!」と言っても過言ではなく、そういった意味で迷わず公益社団法人に入会し、将来のビジョンを考えました。
それは、決して間違えではなく正解でした。
個人契約者より社団会員になった経験により感じたこと
【稲城市 栃谷徳弘】
個人契約で開業した時より、保険での業務という意味では常に迷いがありました。「柔整業務は自分がしっかりしていればそれでいいんだ」と割り切り、日々追われる仕事を何とかこなしていく毎日です。
生活の糧を得ることが優先となり、初心のころの「自分は骨接ぎなんだ」という思いとは違うものとなって行くことが不安でなりません。また、自らそれに気づかないでいようとする自分に腹が立つ有様です。個人契約が悪いことだとは思いません。しかし周りから聞こえてくる声は「柔道整復師とは医療類似行為で保険を使いマッサージで営みを立てている人たちだ」という声ばかりです。接骨院に来てくださる患者さんや、研修時代にご教授くださった医師の先生方さえそういう風潮です。仕事を続ける中で、「このまとまりのない自分のままでは限界だ」と思い悩み、何とかしようと一歩踏み出した答えが「社団入会」でした。広報誌(コンパス)を読むと、知りたかった業界の今が飛び込んできました。講習会に出席すれば、業界の第一線で活躍されている先生方の生きた言葉がそこにあり、疑問を投げかける場があります。各講習会やスポーツ救護など現場への参加そこで知り合う同じ思いや悩みをもつ会員の先生方との出会いが、刺激となり学びとなり、自分の中の柔道整復が確認することができ自信につながりました。以前、社団講習会である先生が言われた「外傷患者が1日10人くれば生活していける柔整業界をめざします」。私はこの言葉を骨接ぎとして信じます。慰安マッサージを目的として実費請求した上に保険一部位の請求なら大丈夫だと、高を括って集客している、マッサージ接骨院では明るい未来は望めません。
「外傷のみで1日10人」望むところです。今年はじめ、安倍総理が引用した言葉です。
「栄辱によって初心に負かんや。たじろがず甘んじず、一歩一歩前に進む決意だ」吉田松陰の言葉だそうです。今の私は、正にそうだと思っています。